Antigravity 2.0 GUI Linux版インストールメモ

Antigravity 2.0 GUI Linux版 インストール & アンインストールガイド

本ドキュメントでは、2026-06-14時点の最新仕様に基づき、Googleのエージェントファースト開発プラットフォーム「Antigravity 2.0」のデスクトップGUI製品である以下の2種類について、Linux環境への手動インストール、初期設定、およびアンインストール手順を解説する。

  1. Antigravity 2.0 (スタンドアロン版): エージェントの並列管理・バックグラウンド実行に特化したコックピット。
  2. Antigravity IDE (エディタ版): エージェント機能をサイドパネルに内蔵した、VS Codeベースのフル機能コードエディタ。

1. システム要件(両ツール共通)

インストールの前に、ご使用のLinuxシステムが以下の要件を満たしているか確認せねばならない。

  • OS / カーネル: 主要なLinuxディストリビューション (Ubuntu 20.04+, Debian 10+, Fedora 36+, RHEL 8+ など)
  • Cランタイム (glibc): glibc >= 2.28
  • C++標準ライブラリ: GLIBCXX >= 3.4.25 (主要ディストリビューションの近代的なライブラリに対応)
  • デスクトップ環境: GNOME、KDE Plasma、XFCEなどのX11またはWaylandウィンドウマネージャ

2. 2つのGUIツールの比較と配置ディレクトリ

本ガイドでは、両製品を同一システム上で安全に共存させるため、ホームディレクトリ(~/Applications/ 配下の別々のディレクトリへ手動インストール(.tar.gz 展開)する手順を推奨する。

ツール名(正式名称)Antigravity 2.0Antigravity IDE
役割・機能エージェントのオーケストレーター(エディタなし)コードエディタ(AIアシスタント機能内蔵)
推奨インストール先~/Applications/Antigravity/~/Applications/Antigravity-IDE/
設定・データ保存先~/.config/Antigravity/~/.config/Antigravity IDE/
アイコンの特徴白色背景のロゴマーク黒色グリッド背景のロゴマーク
実行バイナリ名antigravityantigravity-ide

Warning

ディレクトリの混在に関する注意
スタンドアロン版とIDE版を同じディレクトリにインストールしてはならない。実行ファイルやアセットが上書きされ、正常に動作しなくなる原因となる。必ず上記のようにフォルダを分けて配置されたい。


3. インストール手順

アーカイブ(.tar.gz)内の階層構造に関わらず、指定フォルダへ直接展開できるようにするため、mkdir でフォルダを事前に作成した上で、--strip-components=1 オプションを付与して展開を実行する。

3.1. Antigravity 2.0 (スタンドアロン版) のインストール

  1. ダウンロード: antigravity.google/download からスタンドアロン版のアーカイブ(例: antigravity-standalone-linux-x64.tar.gz)を取得する。
  2. ディレクトリ作成と展開: # 配置先フォルダの作成 mkdir -p ~/Applications/Antigravity # 作成したフォルダ内に直接展開(アーカイブ内のルート階層を1段無視して平坦化) tar -xzf antigravity-standalone-linux-x64.tar.gz -C ~/Applications/Antigravity --strip-components=1 展開後、~/Applications/Antigravity/ ディレクトリ配下に実行バイナリ antigravity が配置されていることを確認されたい。
  3. デスクトップ統合(ランチャー登録):
    アプリケーションメニューから起動できるようにするため、デスクトップエントリを作成する。 nano ~/.local/share/applications/antigravity.desktop 以下の内容を記述する。<YOUR_USERNAME> はご自身のログインユーザー名に書き換える必要がある。 [Desktop Entry] Type=Application Name=Antigravity Standalone Comment=Agent Orchestrator and Command Center Exec=/home/<YOUR_USERNAME>/Applications/Antigravity/antigravity Icon=/home/<YOUR_USERNAME>/Applications/Antigravity/resources/icon.png Terminal=false Categories=Development; StartupNotify=true 保存後、実行権限を付与する。 chmod +x ~/.local/share/applications/antigravity.desktop

3.2. Antigravity IDE (エディタ版) のインストール

  1. ダウンロード: antigravity.google/download からIDE版のアーカイブ(例: antigravity-ide-linux-x64.tar.gz)を取得する。
  2. ディレクトリ作成と展開: # 配置先フォルダの作成 mkdir -p ~/Applications/Antigravity-IDE # 作成したフォルダ内に直接展開 tar -xzf antigravity-ide-linux-x64.tar.gz -C ~/Applications/Antigravity-IDE --strip-components=1 展開後、~/Applications/Antigravity-IDE/ ディレクトリ配下に実行バイナリ antigravity-ide が配置されていることを確認されたい。
  3. デスクトップ統合(ランチャー登録):
    IDE用のデスクトップエントリを別個に作成する。 nano ~/.local/share/applications/antigravity-ide.desktop 以下の内容を記述する。<YOUR_USERNAME> はご自身のログインユーザー名に書き換える必要がある。 [Desktop Entry] Type=Application Name=Antigravity IDE Comment=VS Code-based Agentic Code Editor Exec=/home/<YOUR_USERNAME>/Applications/Antigravity-IDE/antigravity-ide Icon=/home/<YOUR_USERNAME>/Applications/Antigravity-IDE/resources/icon.png Terminal=false Categories=Development;IDE;TextEditor; StartupNotify=true 保存後、実行権限を付与する。 chmod +x ~/.local/share/applications/antigravity-ide.desktop

4. 初回起動時の認証フロー

インストールが完了し、デスクトップランチャーまたはコマンドラインからアプリケーションを起動すると、初回実行時にGoogleアカウントへの認証を求められる。

  1. アプリの起動:
    アプリが立ち上がると、ウェルカム画面(またはサイドパネル)に 「Sign In (ログイン)」 ボタンが表示される。
  2. ブラウザでのサインイン:
    ボタンをクリックすると、システムの既定のWebブラウザが開く。ご利用のGoogleアカウント(またはGoogle Cloud プロジェクトに関連付けられたアカウント)でログインし、アクセス権限を許可されたい。
  3. 完了:
    ブラウザで認証に成功すると、ブラウザがアプリへのリダイレクトを試みる。リダイレクトのダイアログが表示されたら「開く」を選択するか、ブラウザに表示された「認証コード」をアプリのサインイン画面に手動でコピー&ペーストされたい。認証が成功すると、エージェント機能が利用可能になる。

5. 両ツールの共存とデータ移行

設定・データ保存先の独立

Antigravity 2.0 (スタンドアロン版) と Antigravity IDE は、それぞれ以下の独立した設定ディレクトリを使用する。これにより、両者を同時に起動(共存)させても設定が衝突することはない。

  • スタンドアロン版: ~/.config/Antigravity
  • IDE版: ~/.config/Antigravity IDE

旧バージョン(1.x等)からの設定データ移行

1.x系の設定や拡張機能を引き継ぎたい場合、古い共通フォルダ(旧 ~/.config/Antigravity)から新しいエディタ版(~/.config/Antigravity IDE)へデータをコピーして移行する。

# 新しい設定ディレクトリが存在しない場合は一度IDEを起動するか手動で作成
mkdir -p ~/.config/"Antigravity IDE"

# 古い設定ファイルや拡張機能データを新しいIDEフォルダへコピー
cp -R ~/.config/Antigravity/* ~/.config/"Antigravity IDE"/

※コピー完了後、新しくインストールした Antigravity IDE を起動し、設定や拡張機能が引き継がれているか確認されたい。


6. 高度なカスタマイズ(ワークスペース設定とエージェント制御)

Antigravity 2.0は、プロジェクトのコードベース内に特定のディレクトリやファイルを配置することで、動作するAIエージェントの挙動や指示をプロジェクト毎に高度にカスタマイズすることが可能である。

6.1. 指示ファイルの2つのレイヤー (GEMINI.md と AGENTS.md)

エージェントに与える指示は、基本方針を定める 「基本憲法」 と、役割や行動を定める 「役割定義」 の2つの階層に分けて指定する。

ファイル名役割と主な用途推奨の配置場所と指定方法
GEMINI.md基本憲法(共通規則)
・プロジェクト全体の設計標準
・厳守すべきコーディング規約やスタイルガイド
・出力言語の設定、ファイル編集に関する権限設定
1. グローバル設定: ~/.gemini/GEMINI.md
(PC上のすべてのプロジェクトで共通適用される)
2. ローカル設定: プロジェクトのルートディレクトリ your-project/GEMINI.md
(ローカルが存在する場合、グローバル設定にマージ・優先される)
AGENTS.md役割・ペルソナ定義
・サブエージェントの担当領域や行動指針
・呼び出し可能なツールの制限や権限設定
・レビュー担当、コード生成担当などの役割割り当て
1. プロジェクト固有定義: プロジェクトのルートディレクトリ your-project/AGENTS.md
2. 構成管理用: .agents/AGENTS.md などの設定フォルダ内

6.2. .agents/ フォルダの構造(旧・互換名: .agent/

プロジェクトのルートディレクトリに配置された .agents/ フォルダは、エージェントのルール、独自スキル、および自動化ワークフローを制御するための中心部である。

標準的な構成例は以下の通りである。

your-project/
├── .agents/                 # エージェントの設定および拡張ディレクトリ
│   ├── rules/               # エージェント用指示ファイル(ガバナンス・コーディング規約等)
│   │   ├── typescript.md    # TS記述の際のコード規約指示ファイル
│   │   └── security.md      # セキュリティチェック指示ファイル
│   ├── skills/              # プロジェクト独自のカスタムスキルフォルダ
│   │   └── custom-parser/   # 個別のスキルパッケージ
│   │       └── SKILL.md     # スキルの仕様定義および動作指示
│   └── workflows/           # 定型実行ワークフローの定義ファイル
│       └── release-audit.json
├── AGENTS.md                # プロジェクト独自のエージェント役割・ペルソナ定義ファイル
└── GEMINI.md                # プロジェクト全体におけるエージェント基本規約(憲法)ファイル

各構成要素の説明

  1. rules/(個別ルールファイル):
    ここに配置されたMarkdownファイルに記載された指示は、エージェントがコード生成やリサーチを行う際、文脈(コンテキスト)として自動的に読み込まれる。
  2. skills/(カスタムスキル):
    エージェントに独自のAPI連携やローカルスクリプト実行などの追加能力(スキル)を与える。フォルダ内の SKILL.md に、モデルがそのスキルをどのように呼び出し・実行すべきかの仕様および指示を記述する。
  3. workflows/(自動化定義):
    「コードの静的解析の実行後にドキュメントを自動作成する」といった、エージェントの一連の行動をレシピ(JSON等)として定義し、カスタムスラッシュコマンドで呼び出せるようにする。

7. アンインストール手順

アンインストールする製品に合わせて、以下のクリーンアップ手順を実行されたい。

7.1. Antigravity 2.0 (スタンドアロン版) の削除

  1. アプリ本体の削除: rm -rf ~/Applications/Antigravity
  2. デスクトップエントリの削除: rm ~/.local/share/applications/antigravity.desktop
  3. ユーザー設定・キャッシュデータの削除: rm -rf ~/.config/Antigravity

7.2. Antigravity IDE (エディタ版) の削除

  1. アプリ本体の削除: rm -rf ~/Applications/Antigravity-IDE
  2. デスクトップエントリの削除: rm ~/.local/share/applications/antigravity-ide.desktop
  3. ユーザー設定・キャッシュデータの削除: rm -rf ~/.config/"Antigravity IDE"

7.3. 共通認証情報・CLI設定の削除(必要な場合)

両ツールおよびCLI(agy)で共有されているAPIキーや認証資格情報、CLIの共通プロファイルを完全に削除したい場合は、以下の共通ディレクトリを削除する。

rm -rf ~/.gemini/

8. トラブルシューティング

Q1. アプリを起動しようとすると共有ライブラリのエラーが表示される

ElectronおよびVS Codeのベースシステムを実行するためのシステムライブラリ(libnss3libatk など)が不足している可能性がある。

  • 依存パッケージのインストール (Ubuntu/Debian系の場合): sudo apt install libnss3 libatk1.0-0 libatk-bridge2.0-0 libcups2 libdrm2 libxkbcommon0 libxcomposite1 libxdamage1 libxrandr2 libgbm1 libasound2

Q2. デスクトップランチャー(メニュー)にアプリアイコンが表示されない

.desktop ファイルの内容(特に Exec=Icon= の絶対パス)が正しいか、および実行権限が与えられているか確認されたい。

# 実行権限の再適用
chmod +x ~/.local/share/applications/antigravity*.desktop

GNOME等のデスクトップ環境で即座に反映されない場合は、一度ログアウトして再ログインするか、以下のコマンドでデスクトップデータベースを更新されたい。

update-desktop-database ~/.local/share/applications/

Q3. chrome-sandbox のパーミッションエラーにより正常に起動しない

Linux環境の一部(特にDebian系や特定のセキュリティ制限があるカーネル環境)において、Chromiumのサンドボックス機能(chrome-sandbox)の所有権やパーミッション、あるいはカーネルのユーザー名前空間(User Namespaces)の設定により、GUIアプリの起動時に以下のようなエラーが発生することがある。

[FATAL:chrome_sandbox_main.cc(115)] The SUID sandbox helper binary was found, but is not configured correctly. Rather than run without sandboxing I'm aborting now. You need to make sure that chrome-sandbox is owned by root and has mode 4755.

このエラーを解消するには、以下のいずれかの対策を実施されたい。

対策A: chrome-sandbox の所有権と権限を修正する(推奨・安全)

インストールした実行ディレクトリ内の chrome-sandbox ファイルに対して、所有者を root に変更し、SUID権限(4755)を設定する。

  • スタンドアロン版の場合: sudo chown root:root ~/Applications/Antigravity/chrome-sandbox sudo chmod 4755 ~/Applications/Antigravity/chrome-sandbox
  • IDE版の場合: sudo chown root:root ~/Applications/Antigravity-IDE/chrome-sandbox sudo chmod 4755 ~/Applications/Antigravity-IDE/chrome-sandbox

対策B: システムの「非特権ユーザー名前空間」を有効化する

SUIDビットの追加を行わず、Chromiumがユーザー名前空間を使ってサンドボックスを実行できるようにシステム設定を変更する。

  1. 一時的な有効化: sudo sysctl kernel.unprivileged_userns_clone=1
  2. 永続的な有効化(再起動後も保持): echo "kernel.unprivileged_userns_clone=1" | sudo tee /etc/sysctl.d/99-unprivileged-userns.conf sudo sysctl --system

対策C: サンドボックスを無効化して実行する(臨時・緊急用)

権限設定の変更を行わずに起動させるための暫定策であるが、ブラウザプロセスのセキュリティ保護が無効になるため、十分な注意を要する。

  • ターミナルからの起動: # スタンドアロン版 ~/Applications/Antigravity/antigravity --no-sandbox # IDE版 ~/Applications/Antigravity-IDE/antigravity-ide --no-sandbox
  • デスクトップランチャーへの適用:
    作成した .desktop ファイル(~/.local/share/applications/ 配下)をテキストエディタで開き、Exec= 行の末尾に --no-sandbox 引数を追記する。
    (例: Exec=/home/ユーザー名/Applications/Antigravity/antigravity --no-sandbox)

Q4. 毎回起動するたびにGoogleログイン(再認証)を要求される

Linux上のデスクトップ環境で安全なログイン情報保存キーリング(gnome-keyringdbus)が正常に稼働していないか、アプリからアクセスできない状態になっている。

対処法:

  1. gnome-keyring および関連パッケージがインストールされていることを確認されたい。
    • Ubuntu/Debian系: sudo apt install gnome-keyring libsecret-1-0
  2. WSL2やヘッドレス環境でデスクトップセッションが無い場合、起動時に dbus-run-session を利用してキーリングを起動する。 dbus-run-session -- ~/Applications/Antigravity/antigravity
  3. 上記でも解決しない場合は、認証セッションのキャッシュが破損している可能性があるため、一度共通ディレクトリを削除してから再ログインを行う。 rm -rf ~/.gemini/